早稲田EX 公開講座『誰が「イスラーム国」を育てたのか?』(4回目)[2017.8.26]

20170827  最終回、4回目のテーマは「イスラーム過激派の将来」です。

  最終回のアプローチは、こんな感じ
-「イスラーム国」がしてきたことを「人間のすることではない」で片付けてしまうと、思考のスイッチがOFFになる
-「イスラーム国」の現象について、「社会学」や「政治学」(つまり過去の経験)を適用させ、今後このようなことを起こさないようにするために、どうすればよいか思考してみる

  このアプローチは、身近な生活でも重要なのことなので、一般教養的にも勉強になりました。

  4回を通して、中東で起きていることは「特別なこと」ではなく、社会の仕組みに照らし合わせると、よくあることだと言うことがわかりました。ただ、メディアから伝えられる事象が、あまりにも酷いので、それが一般に伝わりにくいのではないかと。

  講師が最後に、以下を指摘していました。
– ひとつの現象は、様々な側面からみないと分からない(先入観を持たない)
– これを諦めると、自分が被害を被る(自分に返ってくる)ことがある

  中東のニュースだけでなく、日々の生活で、こういう視点を持ち続けていたいなぁ~

※追記
  櫓がまだ残っていました。いつまでお祭りなのかなぁ~

※最終回のポイント

●一般的な社会運動
  社会運動とは、社会生活上の不充足や不満、不安を契機とする「公的状況の一部、ないし全部を変革しようとする非制度的な組織的活動」
→革命運動からNGO、NPO、住民運動まで多岐に渡る

  ある社会運動に資源(時間、お金、労力など)を費やす意志と能力のある者を、何かしらの組織、ネットワークの者で動員することによって社会運動が発生する

  単に不平不満があるだけでは、社会運動は生まれない。以下が重要
[1]組織化
  運動に資源を投じる意志と能力がある者の組織化が重要
[2]タイミング
  組織的基盤があっても「機が熟さない」と運動は成功しない
[3]動機づけ
  運動の成果に「ただ乗り」する者が出るのを防止するための「動機づけ」がないと「合理的な大衆」はリスクのある運動には参加しない

●社会運動を「イスラーム過激派」に適用してみると
[1]組織化
  中東などのイスラーム過激派、活動家、アフガニスタンでのジハード経験者の個人的な人間関係を通じた動員 + ネットなどで感化された自発的な参加者
→ これが「国境を越えて移動」して「イスラーム国」に合流

  国際機関、慈善団体、援助団体、篤志家の資源の一部が「組織的に」漏出
  欧米諸国、アラビア半島諸国が提供した武器の一部が「組織的に」漏出
→金やモノを提供した人たちがいる

[2]タイミング(機は熟していたか?)
  アラブの春の破綻で各国政府が弱体化した ⇒ 機が熟した!!

[3]動機づけ
  3万人を集めるための「大義名分」

「イスラーム国」に積極的に参加することはムスリムの義務 → 「成果のタダ乗り」は。。。
「イスラーム国」に参加した報酬は全て来世に! → 実際には現世的な誘引(金、妻、家など)も提供したが。。。
→単純な「大義名分」は、長くは続かない

●今後の展望(再び流行らせないようにするためには)
「社会活動」できなくする
(例)
  組織の弱体 → 自由に往来してしまったヒト・モノ・カネ(資源)を絶つ

●結論:「イスラーム統治」は成功したか?
 個別の団体の失敗 / イスラーム過激派の失敗 / イスラーム主義そのものの失敗
→学者によって見解は異なる(講師は後者の考え方)

 [過去の講義]
早稲田EX 公開講座『誰が「イスラーム国」を育てたのか?』(3回目)[2017.8.5]
早稲田EX 公開講座『誰が「イスラーム国」を育てたのか?』(2回目)[2017.7.29]
早稲田EX 公開講座『誰が「イスラーム国」を育てたのか?』(1回目)[2017.7.22]

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